Interaction 95 |
1999.09.01 |
クリスタ・ソムラー&ローラン・ミニョノー
クリスタ・ソムラーは、ウィーン大学で植物学を、ウィーン美術アカデミーで美術を専攻。ローラン・ミニョノーは、フランスAngoulemeでメディアとビデオを専攻。1992年より合作で、人工生命、コミュニケーション、バーチャル・リアリティーそしてマルチメディア・アートに関連したインターラクティブ・コンピュータ・インスタレーションを制作。1995年、東京都写真美術館がインターラクティブ・コンピュータ・インスタレーション「トランス・プラント」を収蔵。また、オーストリアのリンツのアルス・エレクトロニカ・センターにも作品が常設展示される。インターラクティブ・アート、マルチメディア、テクノロジーの各分野で数々の賞を受賞している。1995年からは京都のATR人間情報通信研究所の招待研究員として、テレコミュニケーション、人工生物、映像コミュニケーションの研究を行っている。 成長する植物 観客自らの手が生きた植物と触れることで、コンピュータがスクリーン上で植物のイメージのリアルタイムな成長を促し、コントロールすることにより、5人以上の観客が5つの生きた植物と感覚的な関係を持つことができます。そういった植物との感覚的なインターラクションによって、人間もインスタレーションの一部になるのです。画面上の植物は、アルゴリズムとしてプログラミングされているため、三次元で成長し、自在に回転、拡大縮小、変形、変化します。つまり、人工的成長をコンピュータの三次元空間でリアルタイムに見せることができるのです。人間は生きた植物と対話し、その対話がリアルタイムでビデオスクリーン上に映し出されますので、インタラクティブな対話によってのみもたらされる、予想外の成長を発見することができます。成長過程のプログラミングは大変柔軟に作られているため、スクリーンに現われる結果は常に新しく、変化します。 進化する人工生物 水中を舞台とした仮想生物とのインタラクティブ・リアルタイム・インスタレーション。タッチスクリーンで好きな形の仮想三次元生物を描くと、その人工生物は即座に「生きて」実際に水の入ったプールを泳ぎはじめます。空間における行動は形態の表現であり、形態は環境への適応力を表現しています。形態と行動は密接に関連しており、人工生物の行動能力がプールでの適応力を決定します。最も適応力のある生物が生き残り、生殖、出産することができます。人工生物は、捕食する側とされる側に分かれ、互いに競争し、強い人工生物同士が出会った場合は、子孫を作り、新しい生物が生まれることもあります。生まれた子孫は、親の遺伝コードを受け継ぎます。突然変異と交配によって、メンデルの法則に従った自然に近い再生産メカニズムが実現するのです。作者が開発したアルゴリズムは、自然な「動物」らしい動きを可能にしています。人工生物は全てリアルタイムで、人間と他の人工生物とのインターラクションから生まれるため、その形態の種類は人間の進化の法則同様無限です。現実の自然空間としての水と仮想の人工生物の空間を密接に結びつけることによって、この作品は、「現実」と「非現実」の境界線をぎりぎりまで近づけ、『成長する植物』からさらに一歩進んだ「自然のインターフェース」と「リアルタイム・インターラクション」の探究の世界を創造しています。 |
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