Action Design Research 活動bet36体育在线-体育投注官网@ ?ぎふメディアコスモスとの協働?
今年度のAction Design Research Projectでは、XRを活用した「協働的デザイン環境の設計」を目標としています。その中の活動として10月27日、みんなの森ぎふメディアコスモスの職員の方々とプロジェクトメンバーによるワークショップを行いました。このワークショップは、ぎふメディアコスモスとの共催展示企画である「どこコレ?@メディコス2021 with IAMAS」(2021年12月9日?2022年1月23日)に向けて??ARアプリケーションを用いてぎふメディアコスモスの空間に3Dモデルを配置しながら展示空間を検討したものです。
ここでは、ARアプリケーションを作成した私が、その経緯や変遷、考察をbet36体育在线-体育投注官网@に残したいと思います。
1. ARアプリについて
私がAction Design Research Projectに参加した当初、Kioskを主題として、VRを活用した協働がテーマの一つとして挙がっていました。その中で私は、自身の修士研究テーマを「ARを用いたマンガの表現方法」としていたこともあり、VRではなくAR上で現実空間にKioskの3Dモデルを表示させたらどうだろうと思ったのがARアプリを制作するきっかけです。
最初はKioskのモデルを設置して画面上のボタン操作でいくつかKioskのモデルを切り替えることができるシンプルなARシーンを作成し、手軽に共有できるプラットフォームであるSTYLY上にアップロードしてプロジェクトメンバーにそれぞれ体験してもらいました。その後のディスカッションで「モデルが現実空間に対して浮いている感じがある」「意図しない場所に置いてしまうことがある」などの意見が挙がったため、設置後にモデルを動かせるようにするなど操作性を改善し、LiDARスキャナを搭載したデバイス用のアプリとしてアップデートしました。
LiDARスキャナはiPad2020/iPhone12 Pro以降の機種に搭載されたセンサー技術で、端末と物体との距離や方向の測定ができます。これによってAR空間において実空間の物体との重なりを考慮した3Dモデルの表示ができるようになり、よりリアルなAR体験が可能となります。アップデートしたアプリを用いて再度プロジェクト内の体験会を行い、前述した課題がかなり改善され、充分な実用性があることが確認できました。その後も影の角度を操作して現実の方向と合わせられるようにしたりと細かい調整を重ね、ぎふメディアコスモスでのワークショップに臨みました。
2. ワークショップを通じた考察
ワークショップでは、アプリを使用してぎふメディアコスモス内外の様々な場所にKioskのモデルを配置しながら、職員の方々と場所ごとの使用用途についてディスカッションを行いました。その中で、「協働的デザイン環境の設計」という視点からARアプリに対するいくつかの気づきがありました。
1つは、実際に実物を見ながら議論しているかのように意見を引き出すという役割を、ARアプリが充分に担えたことです。特に注目すべき点として、ワークショップ参加者のリテラシーの違いが壁とならずにコミュニケーションが円滑に出来たことが挙げられます。これにより、今回の事例だけでなく、より幅広い活用方法の可能性が示唆されたと思います。
そしてもう1つが、ARアプリの持つアーカイブ性です。何を見ながら議論しているのかを、実際にそのとき見ていた画面と同時に録画して残すことができるのは大きな強みです。それだけでなく、アーカイブした映像を後から俯瞰的に見直すことで、AR体験中では体験に没入しているため出てこなかった考えを引き出すことができると感じました。また、体験者のアプリケーションへの関わり方を記録できるという側面は、表現の観点からも興味深く、ARを用いたマンガ表現においても参考になる点がありました。
最後に、ARアプリを制作した私の立場の変化についても述べたいと思います。昨年度はソフトピアジャパンに3期にわたってKioskを設置するなど、Kioskを実際に手で組み立てる機会があったのですが、今年度は中々その機会がありませんでした。そのため今年度からプロジェクトに加わった私は、Kioskがどういったものなのかを理解するのに苦労していました。しかしながらARアプリの制作過程で様々なタイプのKioskの3Dモデルを取り扱い、自身でのテストやプロジェクト内の体験会を重ねることでその空間構成システムを理解していくことができたのは、これまでにない体験でした。まだ組み立てた経験がなかった私が、ワークショップでARアプリを用いてKioskの構造を説明したことは、プロジェクトにおいても初めてのケースだったように思います。設計者だけでなく、使用者の視点から設計システムを理解する上で、ARアプリが大きな役割を担っていたと感じています。
今谷真太郎(修士1年)