永原康史-時間のなかだち:デザインとNFTの邂逅
2024年3月27日から5月26日まで京都dddギャラリーで、企画展「永原康史-時間のなかだち:デザインとNFTの邂逅」が開催されます。グラフィックデザイナー/メディアデザイナーの永原康史さん(元岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー教授、元多摩美術大学教授)のメディアとデザインの実践を振り返るとともに、NFTを新しいメディアとして捉えた最新の試みも発表します。
この展覧会のトークイベントには卒業生でクリエイティブコーダーの高尾俊介さんが登壇します。また卒業生の加藤明洋さんが本展覧会に制作協力として携わっています。
永原康史は、マルチメディアやメディアデザインという言葉が誕生した1980年代からメディアとデザインの可能性を探求してきた先駆者のひとりです。Macintoshが日本に最初に紹介された1984年から、永原はいち早くコンピューターを使ったデザインに取り組んできました。グラフィックデザイナーがコンピューターを使うのは今でこそ当たり前のことですが、永原が特殊なのは、コンピューターをペンや定規の代替物としてではなく、新しいメディアとして捉えていた点です。デジタルとフィジカルをつなぐ新たなデザイン表現を生み出す彼の実験は、一連の電子ブック作品やアルゴリズミック?タイポグラフィ作品に結実していきました。
「メディアとはなかだちするもののこと、メディアデザインとはなかだちのデザイン」とは、永原がさまざまな場所で表明してきたキーワードです。展覧会タイトルの「時間のなかだち」は、40年以上にわたる永原のメディアデザインの実践を振り返るとともに、メディアの過去と未来を橋渡しするという意味が込められています。パーソナルコンピューターにつづくインターネットの到来、さらにはグローバル資本主義経済の発展のなかで、メディアとデザインを取り巻く環境は様変わりしました。直近では、生成AIや空間コンピューティング、NFTなどの新たなデジタル技術の波が、デザイナーの仕事にも大きな影響を与えようとしています。展覧会サブタイトル「デザインとNFTの邂逅」は、NFTを新しいメディアとして捉えた永原の最新の試みを表しています。
本展が、ひとりでも多くの方に、とりわけ、生まれたときからコンピューターやインターネットが存在していた若いクリエーターたちに、グラフィックデザイナー/メディアデザイナー、永原康史の業績を知っていただく機会となれば幸いです。「永原康史-時間のなかだち:デザインとNFTの邂逅」より引用