作品名/作家情報
TOWER of XXX
(多重塔)
襖で構成された塔、その内部に合成映像を投影した立体映像インスタレーション。日本の伝統的空間、持つ意味を擬態した構成物である塔。 鑑賞者は塔の内部に入り込み、内側から鑑賞する。
作品詳細
襖で構成された塔、その内部に合成映像を投影した立体映像インスタレーション。
鑑賞者は塔の内部に入り込み、内側から鑑賞する。 テーマは擬態。何と何と何で構成されているか一見して分からない。よく知るものを擬態しているが、偽物とあからさまにわかる、怪しげな正体不明のもの、そこからくる胡散臭さ、違和感。
襖で囲われた空間は通常の和室とは様々な点において異なるスケールとなっており、縦の黄金比率に置き直してある。つまりよく知り体験もしている和室と外枠が似通うが、構成要素の相違によって違和感を感じる空間体験が得られるのである。 さらにその襖空間を縦方向に多重に積むことによって、空間が上に高く伸び、仏教における五重塔など、天と地をつなぐ装置である塔に似せ、更なる違和感を体験させる。 塔の構成物である、襖には、マクロ撮影で収集した素材を用い、水墨画を擬態した合成を施したものを襖の上貼り紙として張り込み、寺院の水墨画空間を模擬している。これらのモチーフは水墨画のモチーフである、岩や木、水などを撮影し、構成したものではなく、通常廃棄される食材だったもので構成されている。
作品コンセプトとして、日本的空間をハックし、擬態しなりすますものを作る。 hackとは乱暴に切り刻む、ものを叩き切ってものを作る、電子計算機においては、システム?データなどに不法に侵入し改変/盗用するという意味である。 つまり、既存の知、和を擬態しつつ、全く違う手法、構成物で組み直すことによって、従来の伝統的手法の持っている意味合いを壊し、改変し、その結果を見せることによって、従来の観念を懐疑させ、 鑑賞者の価値観の変容、視点のシフトを目指しているのである。